地方の小さな中学校から、東京の高偏差値高校に首席入学した岩倉美津未。
引用ーTVアニメ「スキップとローファー」公式サイト
完璧な生涯設計を胸に、ひとり上京してきた田舎の神童は、勉強はできるけど距離感が独特でちょっとズレてる。
だから失敗することもあるけれど、その天然っぷりにクラスメイトたちは感化されて、十人十色の個性はいつしか重なっていく。
評価:★★★★★(90点) 全12話
等身大の高校生達

<登場人物>
- 岩倉美津未(いわくらみつみ)
上京してきた優等生!努力家だけどちょっとズレてる笑 - 志摩聡介(しまそうすけ)
誰にでも優しいスマートイケメン。本心が見えづらく掴みどころのない一面も - 江頭ミカ(えがしらみか)
おしゃれに敏感で他人の目を気にしがちな女の子 - 村重結月(むらしげゆづき)
誰もが認める美少女だが、なんとなく近寄りがたい雰囲気も。 - 久留米誠(くるめまこと)
人見知りで自分を卑下しがちな女の子。
主要キャラは、誰もが好きになってしまう魅力を持っています。
表情や態度から伝わる心の揺れや悩みが丁寧に描かれているからこそ、思わず自分を重ねてしまうのです。
特に江頭ミカは、地味な美津未をそっけなくあしらったり、
聡介に近づくための手段として利用したりと、最初は“ちょっと苦手”に感じる人も多いかもしれません。
しかし、物語が進み、美津未やミカ自身の過去が明かされるにつれて、
彼女がとても人間らしく、等身大の女子高生であることがわかります。
きっと、最初に苦手だと思っていた人ほど、
最後には「一番共感できるキャラ」に変わっていることでしょう。
優しく前向きな世界観

25歳以上の方は、視聴の際にご注意を。
あの頃のキラキラした青春と、まっすぐな日々を思い出して、胸が少し痛くなるかもしれません。
美津未は、空回りしながらも一生懸命で、不器用な女の子。
そんな彼女を見守り、支えてくれる仲間たちの優しさが、心に沁みます。
文化祭では演劇、体育祭ではクラス総合優勝を目指して全員が一丸に。
どんな小さな出来事にも全力で取り組む姿が、まぶしくて、少し切ない。
当時、どこか冷めた目で過ごしていた自分を思い出して、「もっと楽しんでおけばよかったな」と後悔の念に苛まれること間違いなし。
クラスの絆、生徒会や部活での時間。
どれもこれも、二度と戻らない青春のかけら。
見ているだけで、あの頃の空気や匂いがふっと蘇るような作品です。
ちょっとずつの恋心

初恋もまだの美津未。
そんな彼女が、スマートで少し大人びた志摩聡介と関わっていくうちに、
自分でもうまく整理できない感情が芽生え始めます。
——この気持ちは、友情?それとも恋心?
一方で、地元の幼なじみ・遠山文乃からは恋愛相談を受けることに。
幼なじみの成長を祝福しながらも、どこか取り残されたような気持ちを抱く美津未。
そんな心の揺らぎがとても丁寧に描かれています。
この作品の魅力は、恋愛を扱いながらもドロドロとした三角関係やいじめが一切ないこと。
どこまでも爽やかで、まっすぐな青春ストーリーとして楽しませてくれます。
個人的な感想
2024年のアニメの中でも、間違いなくトップ5に入る超名作です。
事前知識ゼロで見始めましたが、そのおかげで一つひとつの展開に新鮮な驚きがあり、最後まで夢中で楽しめました。
私自身あまり恋愛アニメを観ないのですが、この作品はジャンルの枠を超えて心をつかまれます。
きっと、主人公・美津未のまっすぐで純粋な性格によるものだと思います。
印象的なシーンはいくつもありますが、特に心に残っているのが、
美津未とミカが体育館でバレーの練習をしていたときの出来事です。
先輩たちに練習を邪魔されながらも懸命に続けていた2人。
しかし、ついにミカと先輩が衝突してしまいます。
黙って見ていた美津未も、友人の危険を前に勇気を出して先輩へ直談判。
けれども、まともに取り合ってもらえません。
そのとき、別の先輩が助け舟を出してくれるのです。
ミカは、嫌なことをしてきた先輩たちの名前を“心の許すまじノート”に記録します。
一方、美津未は助けてくれた先輩の名前を覚えていました。
「私が嫌いな人の名前を覚えているときに、美津未は親切にしてくれた人の名前を覚えていた」——
ミカはそう感じ、美津未のまっすぐさと、自分の未熟さを痛感します。
このシーンを通して、美津未がどうして周囲から好かれるのかがよくわかります。
そして、同時に「私もミカと同じことをしてしまうかもしれない」と思わされ、
ミカのことを少し好きになってしまう、そんな印象的なエピソードでした。



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